妊娠・授乳期用キャットフードについて
猫も人間と同じで、妊娠中や出産後はいつもより多い栄養が必要です。
栄養が不足すると、母体にもお腹の赤ちゃんの発育にも影響が出ます。
完全室内飼いの猫は、飼い主が与える食事しかできないので、飼い主は十分な注意を払って、必要な栄養を満たした食事を与えましょう。
ここでは、妊娠・授乳期用キャットフードについて紹介します。
妊娠中の猫に必要なカロリー
妊娠中に必要な食事のカロリーは、体重×100キロカロリーです。
成猫が必要なカロリーは、体重×80キロカロリーなので、およそ1.2倍の量が必要です。
妊娠中の猫に必要な栄養成分
豊富なたんぱく質と脂肪分
母体に十分なエネルギーを与えるためには、タンパク質と脂肪分が必要です。
たんぱく質が少ないと、死産や未熟児の原因になります。
たんぱく質は、製品あたり35%以上ものを選びましょう。
脂肪分は、効率よくエネルギーに変わる栄養素です。
脂肪分は、製品当たり18%以上のものを選びましょう。
ビタミンB9(葉酸)
ビタミンB9 はDNA(デオキシリボ核酸)の合成に必要です。
妊娠中に欠乏すると、胎児の口蓋裂(こうがいれつ)や口唇裂(こうしんれつ)、脊椎破裂などの障害の原因となる可能性があります。
EPA、DHAなどのオメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、脳の神経細胞の合成に必要で、胎児の体組織が発達するために大切な栄養素です。
タウリン
タウリンが不足すると、胎児の胚の発育が止まって母体に吸収されてしまいます。
動物性のたんぱく質には、高濃度のタウリンが含まれているので、品質のよいたんぱく質を十分な量摂取できれば問題はありません。
授乳中の猫に必要なカロリー
授乳中の猫が1日に必要なカロリーは、体重×250キロカロリーです。
母乳はタンパク質と脂肪を多く含んでいます。
授乳中の猫は、母乳を体重の1.5倍~2倍の量作り出すので、通常の2~3倍のカロリーが必要です。
子猫は、生まれてから離乳までに1カ月かかります。
授乳中に必要なカロリーは、出産した時から1週間ごとに増えます。
授乳中に必要なカロリーは、生まれた子猫の数によって若干違いが出ます。
・出産の頃通常の1.5倍のカロリーが必要
・始めの1週間1.5~1.75倍
・次の2週間2倍
・次の3週間2.5~3倍
授乳中の猫に必要な栄養成分
十分な量のたんぱく質
授乳中にたんぱく質が不足すると、たんぱく質欠乏症になり、十分な量の母乳を作ることができなくなります。
また、母親がたんぱく質欠乏症になると、子猫は最悪の場合、栄養失調で死ぬことがあります。
豊富なカルシウム
母猫は稀に、出産や授乳を通して体内のカルシウムが子猫に奪われて、カルシウム血症を発症することがあります。
カルシウム血症になると、全身痙攣を起こす場合があり、これを子癇(しかん)といいます。
注意!
妊娠中にカルシウム不足が心配だから、とカルシウムをサプリメントなどで、経口投与しないでください。
原因は判明していませんが、産後にカルシウム血症を悪化させることがわかっています。
ビタミンC、E、ルテイン、タウリンなどの抗酸化成分
抗酸化成分は、子猫の免疫力を高める効果があります。
L-カルニチン
L-カルニチンは、体内の脂肪を燃焼してエネルギーとして利用するために必要です。
EPA、DHA
EPA、DHAは、胎児期から生後数週齢の間、子猫の脳や視神系の発達を助けます。
タウリン
子猫の網膜、心臓、生殖器の発達に必要です。
また、不足すると小脳発育不全、後肢発達異常を引き起こします。
妊娠中、授乳中の猫へのキャットフードの与え方
妊娠中の猫は、胃が圧迫されて一度に多くは食べることができなくなるので、回数を増やして与えましょう。
また、妊娠中は大腸が胎児に圧迫されて便秘になりやすいです。
便秘になっていきむと流産の原因になるので、水分の多いウェットキャットフードを混ぜたり、たっぷりの水を何か所にも置いて、十分な量の水が飲めるようにしましょう。
授乳中の猫は、母乳を子猫に与えるために、必要なカロリーが多いので、食べる量も多いです。
いつでも好きなだけ食べることができるようにしておきましょう。
また、授乳中は水分が不足しやすいので、新鮮な水をたっぷり与えましょう。
妊娠中や授乳中の猫には、いつもよりバランスの取れた栄養のある食事を、多く与える必要があります。
ですので、妊娠中や授乳中の猫には、妊娠中、授乳期用キャットフードを与えましょう。
また、子猫用の高たんぱくで栄養の高いキャットフードを与えてもいいでしょう。
メーカーによっては12カ月までの子猫用と妊娠、授乳中の母猫へのキャットフードは同一のものが多いです。
妊娠中、授乳中用キャットフードは、カロリーが高いので、母猫の食欲が旺盛な場合は肥満になる可能性があります。
その場合は、栄養バランスがとれた、無添加、粗悪な肉を含まない高品質のキャットフードを、量を増やして与えましょう。
おわりに
猫の妊娠期間は63日で、授乳期間は約一カ月です。
母猫は妊娠中は、体内で胎児を大きくするため、産後は母乳を作るためにいつもの約1.5~2.5倍のカロリーが必要です。
栄養が不足すると、最悪の場合、流産や死産になってしまいます。
母猫には、バランスが取れた、栄養のあるたっぷりの食事と新鮮な水を与えましょう。
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